日本ではまだ松の内の1月6日は、キリスト教国においては公現祭と呼ばれる祝日です。フランス語ではエピファニーépiphanie といい、その語源はギリシャ語の「出現」を意味する epiphaneia で、東方から三博士がイエスを礼拝するためにベツレヘムを訪れ、贈り物をして、イエスの「顕現」を祝った日とされています。ただしフランスとベルギーでは、1月2日以降の日曜日がその祝日となり、今年は1月4日にあたります。
新約聖書の『マタイの福音書』に博士たちについての記述があります。しかし、「東からきた博士たち」としか書かれておらず、人数は明記されていません。彼らはヘロデ王に「ユダヤ人の王としてお生まれになったかた」について尋ね、ベツレヘムにたどりつきます。彼らはイエスを見て拝み、乳香、没薬、黄金を贈り物としてささげました。この贈り物の数から「三人」とみなすことが定着したようです。贈り物を捧げる三人は、先回紹介したクレッシュにも登場します。
三博士は、絵画史において、12世紀頃から、老年、壮年、青年の三年代、またヨーロッパ、アジア、アフリカの三大陸の象徴として(年の若い一人は黒人)描き分けられるようになりました。ヘロデ大王は幼子を見つけたら、自分に知らせるようにと博士たちに頼みましたが、彼らは夢のお告げを聞いてヘロデ大王のもとに戻らずに帰りました。それでイエスは助かりました。ヘロデ王は後で拝みに行くからと言いながら殺すつもりだったのですから。
フランスでは1月6日のエピファニーをお祝いするときに、ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois 王様のガレット)というお菓子を食べます。王様が複数形になっているのは、三博士のことを指しているからです。サクサクとしたパイ生地にアーモンド・クリームがたっぷり入った焼き菓子ですが、フェーヴと呼ばれる小さな陶器の人形がひとつだけ隠されています。切り分けた中からフェーヴが出てきた人は、紙製の王冠をかぶって「その日1日王様になれる」という特典がついています(気づかずに食べて、歯を折らないように!)。南仏のほうではパイ生地がブリオッシュ生地だったり、中のクリームがオレンジ風味だったりと、地方によっても違いがあるようです。
数年前、フランス人のお宅でガレット・デ・ロワをいただきく機会がありましたが、私のピースに見事フェーヴが入っていました!昔は乾燥させたそら豆(fève フェーヴ)を入れていたようですが、今はいろんなものをかたどり、デザインも豊富で、コレクターも多いようです。パリのラ・デュレのショーウインドウをのぞいたら、いろんなフェーヴが並んでいて、1個20ユーロくらいで売られていました。エピファニーのときには、老舗のパティスリーや有名パティシエがガレット・デ・ロワで腕を競います。
もちろん、ロバボンでもイベントをやりますよ!
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