「ダバダバダ」というピエール・バルーとニコール・クロワジールのスキャットが余りにも有名な『男と女』が公開されたのは1966年のこと。『男と女』はカンヌ国際映画祭のパルム・ドールとアカデミー賞の外国語映画賞を受賞し、クロード・ルルーシュ監督の出世作となりました。この作品はルルーシュ監督がまだ無名だったためにスポンサーがつかず、自費で製作されたのでした。クロード・ルルーシュ監督自身は、20歳の頃から短編映画を中心に作品を撮りながら、一方でビデオクリップの前身ともいえるジュークボックスでかけるスコピトン Scopitone の監督として、ジャンヌ・モロー、ジョニー・アリディ、ダリダ、クロード・フランソワらのシングル盤の映像を制作していました。『男と女』が良質なビデオクリップとしても楽しめるのも、その仕事のせキャリアのせいなのでしょう。
主演のジャン=ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメの名前も、フランシス・レイのテーマ曲と一緒に世界中に知れ渡りました。フランシス・レイも、エディット・ピアフの晩年に曲を提供したり、イブ・モンタンの伴奏などで活躍していましたが、ダバダバダの主題歌で作曲家としての地位を築き上げたのでした。もちろん映画にも出演したシンガーソングライター、ピエール・バルーの存在も忘れていけません。これらの相乗効果が相まって、いまだに「フランス映画」といえば『男と女』を挙げる人も多く、当時は映画の見方を変えるほどのインパクトを観客に与えたようです。
『男と女』50周年を記念して様々なイベントが行われていますが、何よりもうれしいのは、フランシス・レイの音楽をフルオーケストラで再現するシネマコンサート、『クロード・ルルーシュ・イン・コンサート』が、東京と大阪で開催されることでしょう。2014年9月にフランス・パリのアンヴァリッド広場で行われ、2500人以上が熱狂したプロジェクトが日本のみで再演されます。『男と女』『パリのめぐり逢い』『愛と哀しみのボレロ』に加え、本国フランス公演では上演されなかった『白い恋人たち』が上演されることが決定しました。さらにゲストボーカリストとして、フランスミュージカル界の貴公子、ローラン・バンの出演し、また、オーケストラと共演するソロ・ヴァイオリニストに、現フランス首相であるマニュエル・ヴァルス夫人のアン・グラヴォワンを迎え、話題豊富な公演です。
またクロード・ルルーシュ監督の最新作『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(原題:Un + une)』が、9月3日に公開されています。クロード・ルルーシュ監督とフランシス・レイの名コンビが『男と女』からちょうど50年後に再び、大人の恋愛ドラマを手掛けました。また音楽の分野では、元ピチカート・ファイブの野宮真貴が、カバーアルバム『男と女 〜野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。』(8月31日発売)を発表し、タイトル曲で横山剣とデュエットしています。
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