カーニバル、フランス語のカルナヴァル(carnaval=謝肉祭)は、その最終日がマルディ・グラ(Mardi gras=告解火曜日)にあたり、その翌日に灰の水曜日(Mercredi des Cendres)が続きますが、この日から四旬節(Carême=灰の水曜日から復活日の前日までの日曜日を除いた40日間)が始まります。四旬節の間は質素な食事と節制した生活をせねばならないため、カーニバル期間中は皆仮装して、音楽を奏で、歌ったり踊ったり、紙吹雪やテープを投げ合い、ハメを外してお祭り騒ぎをして過ごします。
ところでカルナヴァルという語は、1549年に「カーニバルの期間に与えられた祝祭」という意味で使われ始めました。イタリア語の carnevele あるいは carnevalo から来ており、ラテン語の「肉」を意味する carne と「取り除く」を意味する levare からなる carnelevare が語源ということです。つまり「四旬節に入る」ことを意味しているのです。
さて、ニースのカーニバルはフランスのカーニバルで最も大きなものです。その歴史は非常に古く、1294年プロヴァンス伯爵シャルル2世(アンジュー公)がニースでカーニバルを楽しんだとの記録があるそうです。毎年2月から3月にかけて2週間に渡って開催され、100万人以上の観客が訪れます。
この間華やかなスペクタクルが次々に繰り広げられますが、中でも見逃せないのが世界各地から集った1000人以上のミュージシャンやダンサーが盛り上げてくれる巨大で色彩豊かな「カーニバルのパレード」と美しい花々に飾られた16の山車が競い合う「花合戦」です。2015年の開催期間は2月13日から3月1日まで。テーマは「音楽の王様」で、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーやレゲエの神様ボブ・マーリーをモチーフにした巨大な山車が街を練り歩きます。
最終日に行われる花火もお見逃しなく!
ちなみにカーニバルといえば、「アドリア海の女王」と呼ばれるイタリア・ヴェネチアのカーニバルの方が有名でしょう。こちらはアクイレイアの総主教との抗争にヴェネツィアが勝利した1162年より行われているそうで、ニースよりもさらに歴史がありますね。毎年300万人以上の観光客が訪れるヴェネチアのカーニバルは、世界屈指の海洋国家としてピークを迎えたルネサンス期にすでにヨーロッパ中で有名だったようです。
どちらかというとモダンな趣向のニースのカーニバルに対し、こちらは、中世の豪華な衣装と仮面で着飾り、ヴェネチア最古の「カフェ・フローリアン」のような格式あるカフェで気取ってお茶を飲んだり、美しい歴史の街ヴェネチアをそぞろ歩く人々で溢れかえります。この幽玄な世界は死ぬまでに一度は堪能してみたいもの。残念ながら2015年のヴェネチアカーニバルは1月31日から2月17日までの開催で、すでに終わってしまいましたが、ニースと距離的に遠くないので同じ年の2つのカーニバルを比べてみるのも楽しいのでは。
ニースのカーニバルの公式サイト:http://www.nicecarnaval.com/
By debs-eye photostream [CC BY 2.0 ()], via Wikimedia Commons
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