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Column de saison

バカンスの街 ニースとカンヌ

さて今年もフランス人が待ちに待ったバカンスの季節ですね。

 

フランス人は年5週間の有給休暇があります。日本の有名無実のような有給休暇ではありません。雇用者は被雇用者に取得させないと法律で罰せられるので、何が何でも行使しなくてはならない権利なのです!ただ、街のパン屋さんやカフェ、小売りの商店などは、丸々ひと月お店を閉めていたりしますが、会社勤めなどですと、1週間単位で何回かに分けて取ったりするようです。

 

ところでバカンスといえば、みなさんはフランスのどの街を思い浮かべますか?高級リゾートっぽいニースやカンヌあたりでしょうか?地中海に面したコート・ダジュール(紺碧海岸)は太陽の光が年間を通してフランスで最も降り注ぐ地域です。その代表的な街ニースとカンヌには今や世界中から観光客が押し寄せていますが、観光地としてのニースとカンヌはもともとイギリス貴族たちの御用達でした。

 

イギリスの貴族たちは18世紀の終わり頃、冬の保養地を求めてニースにやってくるようになりました。1764年、ジョージ3世の兄弟であるヨーク公爵がニースに滞在しましたが、すでにその頃には様々な国から冬の寒さを避けてやってくる保養客が300人ほどいたそうです。 時代は下り、イギリスの政治家ヘンリー・ブルームHenry Brougham (1778-1868) がイタリアに行こうとして、偶然カンヌに立ち寄りました。その頃はただの小さな漁村だったカンヌの住人にもてなされたブルームは、この地の景色が気に入り、素晴らしい邸宅を建てたため、ヨーロッパの貴族たちもカンヌを訪れるようになりました。

 

こうしてお金持ちの外国人たちがニースとカンヌに別荘を構えるようになり、ニースとカンヌはブルジョワとセレブたちのリゾート地になってゆきます。

 

ニースの有名な遊歩道「イギリス人たちの遊歩道」la promenade des Anglaisは残念ながら、2016年7月14日のパリ祭で花火が打ち上げられている最中のテロで有名になってしまいましたが、相変わらずフランスの観光地トップ10に入っています。 カンヌの遊歩道ラ・クロワゼットla Croisetteは、あのカンヌ国際映画祭の会場があることで有名です。『万引き家族』で今年2018年のパルム・ドール賞を受賞した是枝監督がレッド・カーペットに登場したのは記憶に新しいところですね!

 

Cannes - port et croisette.jpg
By Christophe.Finot投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, Link

le 30 juin 2018
cyberbloom

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