これは『名前が語るお菓子の歴史』の一節です。あなたは、この中からいくつお菓子の名前を見つけられますか。
雷光のきらめきのように白い山を一瞬でよじ登り、バイエルンの男と出会わずに黒い森を通り過ぎるために、本当に必要なものはなんだろう?出発はポン・ヌフからでも、サントノレ通りからでもいい。左岸のモンパルナス駅にいく。モンパルナスからはいくつものルートが可能だ。パリ‐ブレスト線を選んで、サブレの街で停車。あるいはロワール渓谷のシャトーをめぐってシャンポール城に。途中ピティヴィエで一泊。発車は迫り、駅は混雑している。そこでナントの人、サントロペの人に道を尋ねることになる…。
それでは、ここに出てくるお菓子を、順番に解説していきましょう。
雷光のきらめき Eclair
フランス語でエクレール、いわゆる「エクレア」のことのことですね。「ジャコブの杖」 bâton de Jacob と呼ばれることも。「稲妻」と名付けられたのは、アカデミー・フランセーズの辞書によれば、あっという間に食べられてしまうから、とのこと。
白い山 Mont blanc
フランスとイタリアの国境に位置する 、ヨーロッパアルプスの最高峰「モンブラン」=「白い山」。この名前を冠したお菓子は、雪を頂く山のイメージから。雪は生クリーム、中にバニラの香りのマロンクリームが入っています。
バイエルンの男 Bavarois
バヴァロワは、ムースに良く似たデザートで、アングレーズ・ソースにホイップ・クリームを加え、ゼラチンで固めたものです。アングレーズ・ソースでなくフルーツ・ピューレをベースにしたものもあります。冷やして召し上がれ!ちなみに、この語は、フランス語で「バイエルンの」を意味する形容詞です。(名詞はbavière。)ドイツのバイエルン王国の貴族のためにフランス人シェフが考案したのが由来とか。
黒い森 Forêt-Noire
フォレ・ノワールはフランス語で「黒い森」を意味し、ドイツ語のシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテSchwarzwälder Kirschtorte「黒い森のサクランボ入りケーキ」から来ています。ココアの入ったスポンジ生地をキルシュ酒で香りをつけ、生地にはシロップに漬けたさくらんぼと生クリームが挟まれています。周りには森に積もった雪に見立てたキルシュ酒入り生クリームを塗り、雪の上の落ち葉に見立てて削ったチョコレートとサクランボを飾ります。ドイツ、シュヴァルツヴァルト地方の黒い森の特産品であるサクランボをイメージして作られました。
ポン・ヌフ Pont Neuf
ポン=ヌフは、フランス語で「新しい橋」という意味ですが、その意味とは裏腹に1604年に架橋されたパリ最古の橋の名前です。シテ島の西先端部を横切ってセーヌ川にかかっています。お菓子のポン・ヌフは、この橋の名前に由来します。パリパリサクサクのパイ生地の中に、カスタードクリームとシュー生地が入っており、表面は、フランボワーズジャムの赤色と粉砂糖の白色が交差していて、見た目も美しいお菓子ですが、表面の十文字のパイが橋を、それ例外の部分がシテ島を表しているそうです。
まだまだ続きますよ…
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