フランスで話題になったガイドブックの日本語版が発売されました。タイトルは『私のパリ生活 Ma vie à Paris 』。家具や陶器のデザイナーであるイヴァン・ペリコリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットが、「生き方 art de vivre」を体現するパリのアドレスの目録を作りました。2000年頃、まず彼らは手帳の最後に挟み込む形のものから始めましたが、誰も興味を持ってくれませんでした。
そこで三方金の装丁で、長編小説を思わせる活版印刷のガイドブックを作ることを思いつきました。なぜならパリジャンが観光客が脇に挟んで歩き回るようなガイドブックを持っていては恥ずかしいからです。『私のパリ生活』は、パリを知り尽くしたふたりによる、とても個人的で、便利で、客観的に評価されたパリガイドで、実際パリの扉を開く鍵のような本です。
その住所録は多岐に渡ります。親切な配管工、指圧マッサージ師、古いテーブルを復旧する蝋を売っている高級家具師、貸しオーケストラ、占星術師、珍しい電池を売ってくれる店、友達や日本人、英国人のパートナーを招くための隠れ家レストラン…。
私たちは、人々が殺到することがない、とっておきの店の住所を書き留めていく習慣がありますが、そういうリストを通して、パリの姿が、パリの人々の生き方が、時代の流れに逆らう美学が描き出されるのです。これらの場所を支える人々は高齢で、彼らがいなくなれば消えてしまうかもしれません。しかし私たちは壊れやすいものに惹かれるのではないでしょうか。その背後に、美の概念が現れるからです。
日本語版『私のパリ生活』の出版に際してはDNP (大日本印刷株式会社 )が全面的に協力し、「秀英体」という書体が使われましたが、ふたりは同じような形で東京ガイドの出版を考えているみたいですよ。
⇒こちらで購入できます:MA VIE A PARIS 「私のパリ生活」
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